#離婚

配偶者と離婚するための条件とは?裁判でも認められる離婚理由

近年、離婚を検討する人が増えていて、それに伴って離婚率も増加傾向にあります。

しかし、夫婦は口約束で付き合っているカップルとは違い、夫婦として一種の契約関係にあるので、それなりの義務や責任が発生します。

そのため、たとえあなたが離婚を決意したとしても、状況によって簡単には離婚することができないかもしれません。
そこでこの記事では、あなたが離婚をしたいとき、あるいは離婚を阻止したいときに役に立つ、配偶者と離婚するための条件について分かりやすく解説していきます。


協議離婚における離婚について

離婚協議においては、夫婦間の合意が得られれば、離婚することができます。
離婚する夫婦の9割ほどは、協議離婚によって離婚が成立しています。


いわゆる、離婚ときいてよくイメージされる、離婚届を差し出して、それに合意する形で互いに記述して役所に提出する離婚方法です。
なぜ協議離婚が大半の夫婦に選ばれているかというと、比較的簡単に手続きができることや、争う意思がないことが挙げられます。

そのため、夫婦間で合意ができているのなら、協議離婚をすることが一般的です。


法定離婚事由について

法定離婚事由とは、民法によって定められている、裁判で離婚するために必要な5つの条件のことをいいます。
たとえば、互いが離婚に合意していればよいのですが、片方が拒否したときには裁判で決着をつけることになります。
そして裁判で離婚の要求が認められるには、相応の理由が必要となりますが、ここでその理由の目安となるものが法定離婚事由です。
簡単に言えば、次に挙げる5つの理由のいずれかに当てはまっていれば、離婚を求められても仕方ないよね、と裁判所が判断するということです。

法定離婚事由として定められる5つの条件は、下記の通りです。


  • 不貞行為
  • 悪意の遺棄
  • 配偶者の生死が3年以上分からない
  • 強度の精神病にかかり、回復の見込みがない
  • その他結婚生活を継続することが難しい事由

それでは、法定離婚事由として定められる5つの条件をそれぞれ分かりやすく解説していきます。

不貞行為


浮気や不倫などとも呼ばれていますが、夫婦のどちらかが、配偶者以外の異性と自由意志で肉体関係を持つことをいいます。
具体的には、キスやハグなどは不貞行為に含まれず、性行為が複数回に及ぶと判断できるときに不貞行為と認められます。
他にも、性行為の疑似行為とされる、同棲や一緒に入浴するといった場合も不貞行為と認められる可能性が高いでしょう。


悪意の遺棄


悪意の遺棄とは、夫婦としての義務を放棄することをいいます。
夫婦は同居して、互いに協力し扶助しあわなければならないということが民法によって定められています。
例えば、同居を拒否することや、生活費を渡さないこと、DVなどの虐待、浮気相手の家で生活をする、仕事をしない、家事を手伝わないなどが挙げられます。


しかし例外として、正当な理由がある場合には、悪意の遺棄に当てはまらないことがあります。


別居を例に挙げると、単身赴任によりやむなく別居しているが、生活費の送金をしているという場合や、夫婦間の話し合いによって別居が認められているなど、それぞれの経緯によって判断が変わります。
他にも、仕事をしない理由が、健康でないことで仕方なく療養しているという場合なども、悪意の遺棄とは判断されないことがあります。


配偶者の生死が3年以上分からない

配偶者からの消息が途絶えてから3年以上が経過していると、悪意の遺棄をされたと認められることがあります。
ただし、生死が不明であることを示す証拠が必要となります。


例えば、不仲のため、ただ距離をおいているだけで、実は見つけ出すことができるというようなこともありますので、明確に消息がわからないと判断できるものを用意することが条件として挙げられます。

生死が不明である証拠になるものはなにかというと、警察への捜索願が提出されていることや、配偶者をよく知る人物からの陳述書などがこれに当たります。
要するに、探す意思があったものの、見つけ出すことができなかったと分かればよいのですね。

これが認められると、話し合いのもと合意を得ようとする協議離婚や調停離婚ができませんので、裁判によって離婚をします。


強度の精神病にかかり、回復の見込みがない

配偶者が、回復が見込めないほどの強度な精神病にかかっている場合も、離婚を要求することができます。
この場合は、いくら悪気がなかったとしても、精神病によって夫婦としての共同生活を続けていくことが非常に困難になりますので、裁判上でも離婚する理由として認められます。


しかし、これを求めるには、強度な精神病にかかっており、今後回復が見込めないという証拠となる、医師の診断結果が必要となります。
さらに、医師の診断結果があったとしても、最終的な判断は裁判所に委ねられているので、確実に離婚が認められるわけではありません。


医師による診断結果があったとしても離婚が認められにくいケースとして、精神病にかかっているものに身寄りがないことが挙げられます。
離婚をすることで、本人の世話をする人が居なくなると、その後の生活がままならず、社会から見捨ててしまうことになります。
そういったこともあるので、総合的に判断を下すのは裁判所であり、その判断によっては必ずしも離婚が成立するわけではないことも知っておきましょう。


その他結婚生活を継続することが難しい事由

上記以外にも、夫婦関係が破綻しており、修復が不可能であると裁判所が判断できる重大な理由があれば離婚をすることができます。
結婚生活を継続しつづけることができない大きな理由というと、例えば以下のような条件が挙げられます。


  • 肉体的、精神的暴行
  • ハラスメント
  • 浪費癖がある
  • セックスレスや性的異常
  • 犯罪による服役
  • 薬物依存やアルコール中毒
  • 過度な宗教活動
  • 親族との不和
  • 性格の不一致
これらが複数当てはまったとしても、各夫婦の事情を鑑みて判断されるため、必ず離婚できるとは限りません。

基本的には、程度によって認められることが多々ありますが、性格の不一致に関しては、夫婦関係が破綻する正当な事由に当てはまらないとされることが多いようです。


まとめ

ここまで、主に裁判において離婚が認められるか否かの判断基準を解説しましたが、人によっては意外に思う内容もあったかもしれません。

重要なポイントとしては、もしあなたが離婚について配偶者と争うことになるのなら、法定離婚事由を確認しておく必要があるということです。
この条件をあらかじめ押さえておけば、ある程度自分が優位に交渉を勧めていくことができるでしょう。

ページ上部へ戻る